
夏の果物とお酒の楽しみ方―薬膳の知恵ですっきりと
暑い夏は、みずみずしい果物がいつもよりおいしく感じられます。桃やすいか、ぶどうなどの夏の果物は、薬膳では体の熱を冷ましたり、失われた潤いを補うものが多いと考えます。
夏に旬の果物に相性のよいお酒を合わせれば、いつもの晩酌がいつもよりも楽しいひとときに。今回は、夏の果物がもつ薬膳の働きと、お酒とのおいしい組み合わせをご紹介します。
多田有紀
夏の果物とお酒を組み合わせながら、薬膳の視点から季節に合った楽しみ方をご紹介します。
旬の恵みを取り入れて、夏の晩酌を爽やかに
一日の終わりに冷えたグラスで飲む一杯。夏に楽しむお酒は、いつも以上においしく感じられますが、薬膳の視点から見ると、暑い季節のお酒には少し気をつけたいポイントがあります。
アルコールを飲みすぎると体に熱をこもりやすく、翌朝のだるさやむくみにつながることがあるからです。
そこで頼りになるのが、旬の果物です。夏の果物には、薬膳では体の余分な熱を冷まし、潤いを補い、湿気を追い出す力を持つものが多くあると考えられています。
つまり、おつまみに旬の果物を選ぶと、お酒の負担をやわらげながら、季節を楽しむことができるのです。今回は、身近な果物とお酒の相性を、薬膳の視点からご紹介します。
多田有紀
「冷やす食材には温める食材を添える」という足し算の考え方も、薬膳で食事のバランスを考えるときの知恵のひとつです。
桃とスパークリングワイン
ほどよい甘さと香りが魅力の桃は、スパークリングワインと好相性です。桃の上品な甘さを、きめ細かな泡と爽やかな酸味が引き立ててくれます。
薬膳で桃は、体に必要な潤いを生み出し、温め、腸の乾燥を防ぐ食材とされています。暑さや冷房によって肌や喉が乾きやすいとき、汗をかいて体の水分を消耗したときにも取り入れたい果物です。
桃は皮をむいて食べやすい大きさに切り、よく冷やしたスパークリングワインに添えるだけでも十分です。グラスに桃を数切れ入れ、ワインを注げば、見た目も華やかになります。
甘口の桃には辛口のスパークリングワインを合わせると、後味がすっきりします。
ただし、桃は温める効果があると薬膳では考えられていますが、冷たいお酒と一緒に取ると胃腸に負担がかかる場合があります。冷えやすい人は、桃もワインも冷やし過ぎないようにしましょう。
すいかのカクテルアレンジ
夏の果物といえば、すいかを思い浮かべる人も多いでしょう。薬膳では、すいかは体にこもった余分な熱を冷まし、喉の渇きを和らげる食材とされています。
また、体内の水分の巡りを助けると考えられているため、暑さで体がほてるときや、むくみが気になるときにも向いています。
すいかは、そのまま食べるだけでなく、カクテルにしても楽しめます。種を取り除いたすいかを粗くつぶし、少量のジンやウォッカに炭酸水を加えれば、爽やかな夏のカクテルになります。
ミントやレモンを添えると、香りと酸味が加わり甘さもすっきりします。
アルコールを控えたい日は、お酒を入れず、すいかと炭酸水だけでモクテルにするのもおすすめです。
すいかは体を冷やす性質が強い果物と薬膳では考えられています。冷えや胃腸の弱さが気になる人は、小さめのグラスで少量ずつ楽しみましょう。
ぶどうとワイン
ぶどうとワインは、同じ原料から生まれる相性のよい組み合わせです。ぶどうのみずみずしい甘さと、ワインの香りや酸味を一緒に味わうことで、それぞれのおいしさが引き立ちます。
薬膳でぶどうは、気や血を補う食材と考えられています。暑さで疲れやすいときや、汗をかいて体力を消耗したときにも取り入れやすい果物です。
緑色のぶどうには、すっきりとした白ワインやロゼワインを。甘みの濃い黒ぶどうには、軽めの赤ワインが合わせやすいでしょう。
ぶどうを凍らせて氷の代わりにグラスへ入れると、ワインが薄まりにくく、見た目にも涼しげです。ただし、冷凍したぶどうは冷えるため、胃腸が弱い人は常温のものを添えるほうが安心です。
ぶどうとワインはどちらも糖質を含むため、量が多くなり過ぎないように気をつけましょう。
柑橘類と焼酎ソーダ
レモンやすだち、かぼす、グレープフルーツなどの柑橘類は、焼酎のソーダ割りによく合います。キリッとした酸味と爽やかな香りが加わり、暑い日にも飲みやすい一杯になります。
薬膳では、柑橘類の香りは「気」の巡りを助けると考えられています。暑さで気分がすっきりしないときや、食欲が落ちているとき、ストレスでお腹が張るように感じるときにも取り入れたい食材です。
焼酎を炭酸水で割り、柑橘類を軽く搾ったり、入れるだけで手軽に楽しめます。大葉やミントを添えるのもおすすめです。
一方、柑橘類の酸味は、空腹時や胃が弱っているときには刺激になることがあります。食事と一緒に、果汁の量を調整しながら楽しみましょう。
果物で、夏の体をいたわる
夏の果物は、暑い季節に不足しやすい潤いを補い、体にこもった熱を逃がす手助けをしてくれると薬膳では考えられています。
桃とスパークリングワイン、すいかのカクテル、ぶどうとワイン、柑橘類と焼酎ソーダなど、組み合わせを変えることで夏の晩酌の楽しみも広がります。
ただし、冷たい果物とお酒を一緒に取り過ぎると、胃腸を冷やし、食欲低下やだるさにつながることもあります。氷を控えめにする、おつまみに温かい料理を添える、チェイサーとして常温の水を飲むなど、冷やし過ぎない工夫も大切です。
旬の果物を少量ずつ味わいながら、香りや彩りも楽しむ。そんな夏らしい一杯で、心と体をゆるやかにいたわってみてはいかがでしょうか。
【ライタープロフィール】
漢方薬膳の専門家。季節の変化に応じた体調管理や、食材の効能を生かした養生法を発信。イベントや商品開発など幅広い分野で活動中。
所持資格:国際中医師(国際中医専門員)・医薬品登録販売者・漢方養生指導士・薬機法管理者・食品衛生責任者
※本記事で紹介している薬膳の内容は、伝統的な食養生の考え方に基づくものであり、医学的な効果を保証するものではありません。
※本記事は特定の商品の効果を保証するものではありません。
※疾病のある方、妊娠中の方は医師にご相談ください。
※法律により20歳未満の酒類の購入や飲酒は禁止されています。
※ご家庭で漬け込み酒を作る場合は、アルコール分20度以上で酒税が課税済みのものに限ります。