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薬膳と漢方の違いとは?生薬・薬草・ハーブとの関係を解説

薬膳と漢方の違いとは?生薬・薬草・ハーブとの関係を解説

目次

薬膳・漢方・生薬・薬草・ハーブの関係をイメージした植物素材

「薬膳と漢方はどう違うの?」「生薬・薬草・ハーブは同じもの?」と疑問に思ったことはありませんか。いずれも健康に良さそうなイメージですが、目的や使い方には違いがあります。この記事では、漢方や薬膳と日常の食事との違い、ハーブや薬草の考え方について、食品と医薬品の違いについても触れながら解説します。

漢方とは何か

「漢方」とは本来、中国から伝わったもので日本で独自に発展した伝統医学の体系全体を指す言葉です。漢方は、漢方薬だけでなく、鍼灸・あん摩、そして薬膳といった考え方まで含まれます。つまり漢方とは漢方薬そのものではないのです。江戸時代にオランダから伝わった西洋医学が「蘭方」(らんぽう)で、中医学を基礎に日本で独自に発展してきた従来の医学は「漢方」と呼ばれるようになったといわれています。中国の伝統医学(中医学)をルーツとしながらも、日本の風土や体質に合わせて発展してきた「日本生まれの伝統医学」です。

漢方薬と生薬の関係

では「漢方薬」と「生薬」はどう違うのでしょうか。生薬とは、植物の根・葉・花・種子や、鉱物、動物由来のものなど、天然素材を乾燥させるなどの加工をした薬の原料のことです。たとえば、生姜(ショウキョウ)、桂皮(ケイヒ=シナモン)、甘草(カンゾウ)、葛根(カッコン)などがよく知られています。漢方薬は、この生薬を漢方医学の理論に基づいて複数組み合わせた処方のことです。たとえば「葛根湯」は、葛根・麻黄・桂皮・芍薬・甘草・生姜・大棗という7つの生薬の組み合わせでできています。

生薬として使われる植物の根や葉、桂皮、生姜などの素材

食品と医薬品はどう区別される?

食品は、毎日の食事を通して栄養を補給し、おいしさを楽しむものです。一方、医薬品は病気の治療、予防などを目的としています。同じ植物でも、使用する部位や成分、目的、表示方法などによって、食品として扱われる場合と医薬品として扱われる場合があります。

例えば、生姜(しょうが)は食品として料理に使われますが、生薬の生姜(ショウキョウ)として漢方薬に配合されることもあります。

多田有紀

多田有紀

ただし、食品として販売するものに「病気を治す」「症状を改善する」など、医薬品のような効能・効果を表示することはできません。薬膳やハーブ、ボタニカルを紹介する際は、どのように説明するかは注意が必要です。

薬膳と日常の食事は何が違う?

次に気になるのは、薬膳と普段の食事は何が違うかということではないでしょうか?薬膳は、漢方(中医学)の考え方を食事に応用したものです。季節や気候、そしてその人の体質や体調に合わせて、食材の持つ性質(体を温める・冷ますなどの分類)を考慮しながら献立を組み立てる。これが薬膳の基本的な考え方です。

「薬膳」と聞くと、クコの実や高麗人参が入った特別な料理をイメージする方もいます。しかし本来の薬膳は、特別な食材を使うことが目的ではありません。スーパーで買える生姜、ねぎ、大根、トマトといった身近な食材も、薬膳の視点ではそれぞれに役割を持つ立派な食材です。

生姜やねぎ、大根、トマトなど身近な食材

ハーブや薬草はどう使い分ける?

一般的にハーブは、料理やお茶、香料などに利用される植物を指し、薬草は古くから健康維持や民間療法に用いられてきた植物を指すこともあります。ハーブや薬草には、食品として利用されるものがある一方、種類や使用部位によっては、医薬品の原材料として分類されるものもあります。

例えば、料理の香りづけに使えばハーブ、伝統的な健康法に用いれば薬草、生薬として漢方薬に配合されれば医薬品の一部として扱われることがあります。つまり、ハーブや薬草は植物の種類だけで決まるものではなく、使用目的や加工方法、配合量などによって位置づけが異なります。

多田有紀

多田有紀

「天然」「植物由来」であっても、必ずしも安全とは限りません。体質や摂取量、服用している薬との組み合わせによっては注意が必要です。

お酒とボタニカルの関係

「ボタニカル」とは、植物由来の素材を広く指す言葉です。お酒の分野では、柑橘類の果皮、ハーブ、スパイス、花など、香りや風味を加える植物素材をボタニカルと呼びます。特にジンは、ハーブやスパイス、果皮などのボタニカルで香りづけされるお酒もあります。

ただし、お酒に配合される場合は、基本的に香りや味わいを楽しむための食品素材です。そのため、ボタニカルを使用したお酒を紹介する際は、「爽やかな香り」「スパイシーな風味」「植物由来の豊かな味わい」など、香味や飲用シーンを中心に表現します。

ハーブやスパイス、柑橘などのボタニカルとジン
用語 原稿内での整理
漢方 中国の伝統医学をルーツとし、日本で独自に発展してきた伝統医学の体系。
漢方薬 漢方医学の理論に基づいて、複数の生薬を組み合わせた処方。
生薬 植物、鉱物、動物由来などの天然素材を加工した薬の原料。
薬膳 漢方(中医学)の考え方を食事に応用したもの。
ハーブ・薬草 植物の種類だけでなく、使用目的や加工方法、配合量などによって位置づけが異なる。
ボタニカル お酒の分野では、香りや風味を加える植物由来の素材を指す。

まとめ

漢方は伝統医学の体系全体、漢方薬はその理論に基づいて生薬を組み合わせた薬、生薬はその原料となる天然素材。薬膳は漢方の考え方を日常の食事に応用したもの。薬草・ハーブは、同じような植物を東洋・西洋それぞれの文化から呼んだ言葉。そしてボタニカルは、それらの植物をお酒の香りづけとして見たときの呼び名です。同じシナモンでもキッチンではスパイス、漢方薬の中では生薬、ジンのボトルの中ではボタニカルと呼ばれることもあります。そう考えると、暮らしの中の植物がぐっと面白く見えてきます。薬膳もハーブもボタニカルも、「日々の暮らしを豊かにする植物の知恵」。その線引きを知っておくことが、これらの文化を長く楽しむいちばんの近道です。


【ライタープロフィール】

多田有紀

漢方薬膳の専門家。季節の変化に応じた体調管理や、食材の効能を生かした養生法を発信。イベントや商品開発など幅広い分野で活動中。 所持資格:国際中医師(国際中医専門員)・医薬品登録販売者・漢方養生指導士・薬機法管理者・食品衛生責任者

※本記事は特定の商品の効果を保証するものではありません。

※疾病のある方、妊娠中の方は医師にご相談ください。

※法律により20歳未満の酒類の購入や飲酒は禁止されています。

※ご家庭で漬け込み酒を作る場合は、アルコール分20度以上で酒税が課税済みのものに限ります。

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